飯豊連峰前衛 焼峰山 内ノ倉川 伊蔵沢 沢遡行(個人山行)  
 ※ 旧内ノ倉登山道調査を兼ねました。

   
GPS LOG下山は調査のため旧内ノ倉登山道(廃道)を下山した。  さて、いよいよお楽しみのはじまり〜♪
   
 立派な滝ですが、ダメです。登れません。巻きましょ、巻きましょ  滑らないように。
   
 DAEさん、沢登りが好きなんですねぇ。本当に楽しそうです。  伊蔵沢のフィナーレ 伊蔵の大滝(ナメだけど案外、茶苔でヌメる)
   
 大滝を登り終えると、ガラっと渓相が変わる。穏やかだなぁ  NENさん、DAEさんが詰めあがってきた。フィナーレです。
   
 旧内ノ倉登山道(廃道で登山禁止)の岩岳の標柱。   足元はモチロン見えない藪です。
   
 内ノ倉湖が見える。実際は新潟〜新発田の街まで見えました。  少し良いかな?
   
  長いヘツリ。下山の長い核心部。肝心な所のテープが見当たらない。  旧登山口入口。封鎖されていますので立ち入らないように。


遡行日 平成22年9月20日(月・祝)
天 候  曇り
気 温  06:00〜18:00 20.9℃〜25.6℃
気象データ 新潟市

装備
沢シューズ、スパッツ、ヘルメット、手袋、ロープ、ハンマー、ピトン、スリング類、カラビナ、確保器、エイト環
参加者
DAE(坂場)さん、NEN(石井)さん、LTQ(ボク) 全員、下越山岳会


概要
当初の予定では、この日曜・休日は巻機山の米子沢へ行くつもりだったが、諸々あって地元の焼峰山の伊蔵沢に入ることになった。
伊蔵沢の提案は、DAEさん。矢沢さんと並び飯豊山域の沢に精通している。

焼峰山(1,085.8m)と低山ながら花崗岩の山体で各沢はアバランチシュートで磨かれて飯豊山域の沢の雰囲気を持っている。
焼峰山には南面に師走沢、袖ノ沢、ウジノ沢と北面の伊蔵沢、焼峰沢が主な沢。
遡行対象としては、袖ノ沢、ウジノ沢、伊蔵沢が比較的多く登られている。
中でも南面の袖ノ沢、ウジノ沢は中々の内容となる。(ボクはウジノ沢は未遡行)それに対し伊蔵沢は焼峰の沢の中では、入門コースとされているが
ボクは初遡行。行ってみたい沢だったが、その機会に恵まれず今回DAEさんのお誘いで実現した。

記録
05:30 集合場所発
06:00 杉滝岩近くの駐車スペース
06:27 林道に入る
06:44 伊蔵沢に架かる橋着
06:50 入渓
08:55 365m付近 Sから大きくEへ沢が曲がるポイント
12:40 800m付近 大滝
13:40 昼食
14:06 調査のため、旧登山道の合流地点を目指し源頭部を進む

14:40 1,010m付近で旧登山道と合流  酷い藪 3年前(遭難捜索時)の赤テープ多数でも肝心な所が遺失している。
14:50 1,037m付近岩岳の傷んだ標柱 荒れ放題の藪道
15:13 990m付近からヘツリへ。状態は悪い。テープ標識も遺失しており、数回ルートを失う。
16:10 730mブナ林の主尾根に戻り着いた。 ブナ林に入れば藪も少しは良いだろうと思ったが、日当たりのよい場所は笹藪化が著しい。
16:37 653mピーク NからWに進路が大きく曲がるポイント
17:09 230m登山道入口に着く
17:30 伊蔵沢の橋
17:47 駐車場所着
18:25 集合場所着解散

以前から訪れてみたいと思っていた『伊蔵沢』登れる滝が多く楽しい沢と聞いていた。なかなかタイミングが合わずに残念な思いを何度かしていた。
しかし、地元だと思うと、逆にその機会を逃しても今度が続いて遠のいていたがこの度、ようやくその機会に恵まれた。

焼峰の沢はどこをとっても、そこそこ時間がかかるし夕暮れも早い今の時期なので5時30分に集合場所に集まる。
DAEさんの車に乗せて頂き行動食を購入して通いなれた、杉滝岩に向かう。
杉滝岩近くの駐車場所に車を停めて準備をする。釣り人もまだ居ない。勿論、岩登りの常連は当然いない。

準備を済ませ、左岸の林道を進む。新発田祭りの頃までは、網張場まで来るとメジロ虻がワンサカまとわりつく場所だ。
あまりの虻で釣りや遡行を諦めたなどという、ウソみたいな信憑性のある話も散見する。
これも時期的なものでこの夏は多少遅めまで出たようだが、もうほとんど見かけない。
死にぞこないのハエかと思ったら、元気のない虻か。そんな程度で気にもならない。
20分程で伊蔵沢に架かる橋に到着。なお、ここから七滝沢の出合いまではこの先約30分〜40分位。

右岸側の藪から入渓。
この沢は集水面積もそれ程広くないこと。藪が沢床近くまで降りていること。そんな理由から水量は少ない沢のようだ。
事実、沢の両岸の夏草もヘ平水時から30センチ〜50センチ程度の高さまで生えていて流された形跡もない。

この沢はフリーで登れる小滝が多く、また釜もそこそこ水深があるので楽しく落下する。
上品なDAEさんは極力落ちない様に進むが、ボクはザブザブどぼ〜んの夏モード。

この沢の楽しいのは、「イヤ〜めえったなぁ〜どうすんべ?」という滝もなく、「ゴーロ歩きもう飽きたっす」という事もなく
テンポよく、滝と河原が入れ替わる。
どうりで、楽しい沢と言われるワケだ。
休憩中もメジロ虻の熱烈歓迎の熱き歓待を受けることもなく実に清々しい気分である。
途中、昨日のものと思われる足跡を見かける。

ロープを出すこともなく楽しく遡行する。地形図の見た目の複雑な地形程ではなく判り易い沢だ。
時折大きく角度が変化するのも現在位置を確認しやすい。

後半も終盤になりロープを出してDAEさんが進む。本当に沢登りが楽しそうだ。
ワンポイントでアブミを残置ハーケンに掛けて水流の中の落ち口に登り着く。
その後は「伊蔵の大滝」というナメ滝。
雨の日、内ノ倉ダムの管理棟付近から白い筋が見えるし残雪期にやはり白い筋が見える場所だ。
花崗岩が少し風化しているが、茶色のヌメリのある水生の苔がいやらしい。滑り始めると止まらない気がする。
DAEさん水流の右のクラックを頼りに進む。
NENさん、ボクも続く。振り返ると、内ノ倉湖、新潟方面、日本海が霞んで見える。
最後のナメを越すと渓相がガラリと変わり小川が流れる様な渓相に変わる。ただ、だんだん水が冷たくなってくる。
山のこんな上でこれだけの水量が不思議な半面、清水釜の水があるのも、さもありなん。と思う。

ここで実質的に沢登りも終了なので昼食タイム。

昼食後穏やかな小沢を気持ちよく歩く。
平成19年の遭難捜索の際、付けたテープ標識をNENさんが見つけた。この小尾根の上に登山道があるはず。
捜索の際、ボクは石ミキ沢出合いまでの左岸林道の捜索班となっていたし、後日遭難者の関係者と旧登山を登った際も、焼峰沢上部までは行っていない。

テープ標識を追っていくがとても、登山道があった場所とは思えない。
暫く下ると、朽ちはじめた『岩岳』の標識が藪の中にひっそりと建っていた。
こういう姿は寂しいものだ。

ここから暫く下ると、標識が消えた。稜頂なので多分3年の風雪で遺失したのだろう。はて、下るか尾根通しか?
DAEさんが下る。どうやら違うようで、稜頂を進むように左下から声が聞こえる。指示の通りに稜頂通しに進むが、登山道の気配はなくツゲとツバキの藪。
毒蛾の幼虫(毛虫)でもいようモノなら、明日は病院行き。
※ マジ、毒蛾の幼虫は茶、ツバキ、ツゲ等少しツヤのある葉によく付く。成虫の鱗粉もロクなモノじゃないが、幼虫の毛は最悪の毛虫。

DAEさんと合流して下山路を進み核心部に入る。
核心部とは、稜頂を離れてトラバースする部分で標高で約960m〜760m付近の約200mの下りは稜線を離れ、長いトラバースとなるが、雪で柴・クロモジ等の
低木樹木は谷側に寝てしまい登山道を覆う。
陽当りの良い場所は夏草が繁茂し足元の視界を奪う。

3年前の遭難者を焼峰沢へ引き込んだと個人的に想像している区間では、トラバースルートだがヒドが焼峰沢へ誘うように歩き易そうに見える。
実際、何度か下りたくなる場面があった。
そんな場所に限ってテープ標識が遺失している。トラバースルートなので雪がナデついて標識を奪い去ったり枝を折ったりしたのだろう。
神経質で長い核心部のトラバースを終えてブナの尾根に合流した。

当初、ブナの尾根に入れば登山道も現れてラクラクすんべぇ。とタカを括っていたが残念ながらの笹藪。
ガッカリです。はい。

皆さん、ご存じのとおりワシ、藪が嫌いなんですぅ。
653Pを下ると少し人工物がでてくる。少しは歩き易くなったと感じたら間もなく林道。
ここから伊蔵沢の橋まで約20分
そこから、駐車場所まで20分
駐車場所で18時少し前か?まあ、日没前には戻る勘定だ。

スタコラ歩いて駐車場所についた。
魚釣りのオヤジと少し話して着替えているうちに
陽が暮れて車が現地を離れる時刻にはドップリと陽が暮れた。
暗くなった県道を辿り集合場所に戻り解散した。

思った通りの楽しい沢でした。
ただ、エスケープルートは思い当たらないので水量の少ない沢でも注意したい。



調査報告
旧内ノ倉登山道の状況は以下のとおりです。
@ 上部はかなり藪化しており登り下りとも困難。
A 陽当りの良い場所は、急速に藪化が進んでいる。陽当りの悪い場所は廃道という感じ。
B 岩岳から、標高760m位までのヘツリのルーファイはキビシイ。我々も数回ルートをロスした。
C 平成19年の遭難捜索の際に付けた、テープ標識も傷み所々欠落している。しかも肝心な場所で・・・
D 653mピークから下の登山道も傷んでいるし、笹も入り込んでいる個所もある。

以上の状況から
@ 旧内ノ倉登山道は既に登山を対象としては辿れる状況ではないと判断します。(新発田市他行政関係機関より登山禁止とされております。)
A 伊蔵沢を登った後の下山は、車を一台、滝谷の一般登山口へ置いて滝谷に下るべきと思いますし、強くお勧め致します。

※ なお、藪山志向の方でも、一発での登頂は考えず、数度の事前調査で標識などの必要措置を講じた後に登頂を検討すべきと思いますが、行政側からは
   登山禁止ルートであることは公表済みですので登山の判断は諸事情を鑑み慎重な行動をされることをお願い致します。

誤解のなきよう追記すると、官山(国有林)である山岳区域の登山を禁じる法律はない。わずかに、富山の剱岳周辺の特別危険区域、危険区域
谷川岳の危険区域への立入制限が条例で定められている。これらにしても、条例であり効力を担保する上位の法律、理論も組まれていないので
頼りない限り。というワケで法理論において整合性について疑問視する向きも過去にはあった。
しかし、今では、そういう事なんで。という雰囲気でまとまっているし、ボク自身順守したいし順守している。
何より、命あっての遊びなんで・・・


所詮は趣味の世界なんで、命を落としては絶対にいけない。
絶対は信じないボクですが、ヤマでは死にたくない。絶対に。
楽しい、伊蔵沢の遡行と3年前の遭難事故をリアルに思い出した一日でした。



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